マラソンの最適気温は何度?|約180万人の記録では3.8〜9.9℃、「遅い人ほど気温に弱い」は支持されなかった

冬ラン×数字

マラソンがいちばん速く走れる気温は、何度くらいなのでしょうか。世界の6つの大きなマラソンの約180万人の記録を調べた研究では、最も速くなる気温は3.8〜9.9℃でした。思っていたより低い、と感じるかもしれません。

もう1つ意外なのは、「遅いランナーほど気温の影響を受けやすい」という見方が、この研究のデータでは支持されなかったことです。

結論:研究で分かっていること

分かったこと研究の数字
最も速く走れる気温3.8〜9.9℃(走力の層によって違う)
男性の上位25%の層6℃で最も速い
女性の上位1%の層9.9℃で最も速い。そこから1℃上がるごとに0.03%遅くなる
遅いランナーほど影響を受けるか全完走者のデータでは、支持されなかった

El Helouら(2012年)の研究です。ベルリン・ボストン・シカゴ・ロンドン・ニューヨーク・パリの各マラソンの2001〜2010年の記録、のべ1,791,972人分を調べています。気温は、スタートから4時間の平均の気温(湿度などを加えた暑さの指数ではなく、ふつうの気温)です。

最も速い気温は、走力の層で3.8〜9.9℃

研究では、各大会の完走タイムを、上位1%、上位25%、真ん中(中央値)などの層に分けました。そして、層ごとに、気温と走る速さの関係を曲線(2次式)で表しています。曲線がいちばん高くなる気温(最も速く走れる気温)は、層によって3.8℃から9.9℃まで違っていました。

本文で層の名前とともに示されているのは、男性の上位25%で6℃、女性の上位1%で9.9℃の2つです。そのほかの層、たとえば中央値の層が何℃で最も速かったかは、論文の付録の表にあり、このサイトでは確認できていません。「サブ4前後の人なら何℃」という形では、分からないとしか書けません。

「遅い人ほど気温に弱い」は、データで支持されなかった

この研究より前には、速いランナーは遅いランナーほど天候の影響を受けない、とする研究がありました。El Helouらは、上位の選手だけでなく完走者全体の記録で確かめ、その見方は支持されないとしています。気温は、もともとの走力にかかわらず、同じように影響する、というのが研究の結論です。

なお、女性の上位1%の層では、最も速い9.9℃から1℃上がっても、遅くなるのは0.03%でした。4時間のランナーに当てはめると、約4秒です。曲線の形から、最も速い気温の近くでは差が小さく、そこから離れるほど差が大きくなります。ただし、何℃でどれだけ遅くなるかを層ごとに示した数字も付録の表にあり、確認できていません。

注意点

  • 海外の大きな6大会のデータ:コースの起伏や、湿度・風・日差しなど、気温以外の条件も大会ごとに違います
  • 同じ人を比べたものではない:暖かい年と寒い年で、出場した人の顔ぶれは違います
  • 暑さへの対策や体調の話は扱っていない:この記事は気温と記録の関係の数字をまとめたもので、医学的な内容は扱っていません

寒い季節の走りの数字は冬にペースが落ちるのは走力低下ではない、レース中のペース配分はマラソンの「前半の貯金」は得か損か?、後半の失速はマラソンの「30kmの壁」は本当にある?にまとめています。

出典

4時間のランナーに当てはめた秒数は、論文の0.03%を4時間に掛けて、このサイトで計算したものです。

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