はじめてのフルマラソン。
完走できるかどうかも分からないまま、とりあえず申し込んだ。
そういう人が最初に意識するのが、5時間という区切りです。
マラソンランナーの世界では、サブ5と言われます。
マラソン大会で達成できれば、きっと良い思い出になる、そんな目標です。
必要な走力を数字にすると、どうなるのか。この記事では、他の距離のタイムや練習ペースまで含めて整理します。
申込のときに書く「予想タイム」の決め方は、マラソンのエントリーで書く予想タイムは?にまとめています。
結論:必要な数値
| 指標 | サブ5に必要な値 |
|---|---|
| VDOT(レースタイムから算出) | 28.7 |
| VO2max(GPSウォッチの表示スケール) | 33.7 |
| 必要な巡航ペース | 1kmあたり7分06秒 |
二つの数値が並んでいて戸惑うかもしれません。
これは同じものの別表現ではなく、別の尺度です。
GPSウォッチが表示するVO2maxは、心拍とスピードから推定した生理学的な値。
VDOTはレースタイムから逆算した実戦的な走力指数です。
このサイトの一覧表の換算(Cooperの式)では、サブ5の水準で、時計のVO2maxはVDOTより約5ポイント高い値になります。
ただし、あるランナーの実測では、時計の値はレースタイムから計算したVDOTより約10ポイント高く出ていました。
換算上の差と、実際の時計の表示との差は別のものです。
つまり時計が34前後を表示していれば、サブ5の射程に入っているということになります。
1kmあたり7分06秒という数字
この数字を見て、拍子抜けした人もいるかもしれません。
7分06秒は、ゆっくりめのジョギングの速さです。
しかし42.195kmを通して維持するとなると、話が変わります。
給水やトイレで立ち止まった時間も、ゴールタイムに含まれます。
止まる時間がある分、走っている間はこのペースより速く進む必要があります。
サブ5の難しさは、速さではなく時間の長さにあります。
5時間、身体を動かし続ける。これが本当の課題です。
他の距離ではどのタイムに相当するか
フルマラソンを走らなくても、短い距離から現在地は測れます。
| 距離 | タイム |
|---|---|
| 5km | 31分49秒 |
| 10km | 1時間06分11秒 |
| ハーフ | 2時間26分28秒 |
10kmを1時間06分で走れているなら、サブ5の走力は既にあります。
あとはそれを42.195kmまで引き延ばす持久力の問題です。
ただし、ここには大きな落とし穴があります。10kmが走れることと、フルマラソンを走り切れることは別物です。
距離が4倍になれば、消費するエネルギーも、脚へのダメージも桁違いになります。
10kmのタイムは「速さが足りているか」の目安にはなりますが、「完走できるか」の保証にはなりません。
4時間30分〜5時間で完走した人の走行距離の統計はサブ4・サブ3の月間走行距離は何km?で扱っています。
練習ペースの目安
VDOT 28.7に対応する練習ペースです。
| 練習の種類 | ペース(1kmあたり) | 用途 |
|---|---|---|
| Eペース | 7分54秒 | ジョグ。土台づくり |
| Mペース | 6分53秒 | レース想定走 |
| Tペース | 6分37秒 | 閾値走。20分程度維持 |
| Iペース | 6分05秒 | 高強度。3〜5分の繰り返し |
注意していただきたいのは、Eペースが目標レースペースより遅いことです。
7分06秒で走りたいのに、ジョグは7分54秒。
「歩くのと変わらないのでは」と感じるかもしれません。しかしこれで正解です。
Eペースの目的は、疲労を溜めずに走行距離を確保することです。
ここで疲れてしまうと、本当に追い込むべき日に追い込めません。
遅い日は遅く走る。 結果的にこれが近道になります。
各ペースの意味については、練習ペースの決め方の記事で詳しく解説しています。
サブ4.5との差
次の目標が見えている人のために、一段上と比較します。
| サブ5 | サブ4.5 | 差 | |
|---|---|---|---|
| VDOT | 28.7 | 32.8 | +4.1 |
| VO2max(時計スケール) | 33.7 | 38.6 | +4.9 |
| ペース | 7分06秒 | 6分23秒 | 43秒速く |
1kmあたり43秒。これを42km維持する必要があります。
サブ5.5・サブ6の場合
初めてのフルマラソンでは、5時間30分切り(サブ5.5)や6時間切り(サブ6)を目標にする人もいます。同じ計算で、サブ5と並べました。
| 指標 | サブ5 | サブ5.5(5時間30分切り) | サブ6(6時間切り) |
|---|---|---|---|
| 時計のVO2max | 33.7 | 29.6 | 26.2 |
| VDOT | 28.7 | 25.4 | 22.7 |
| 1kmあたりのペース | 7分06秒 | 7分49秒 | 8分31秒 |
| 中間点(21.0975km)の通過 | 2時間30分00秒 | 2時間45分00秒 | 3時間00分00秒 |
どれも、ちょうど5時間00分・5時間30分・6時間00分で走りきる場合の値で、ペースは秒未満を切り捨てています。30分ずつ目標を縮めると、1kmあたりのペースは42〜43秒ずつ速くなり、時計のVO2maxはサブ6からサブ5.5で3.4、サブ5.5からサブ5で4.1上がります。
ほかの距離に相当するタイムと練習ペース
| 項目 | サブ5.5の走力 | サブ6の走力 |
|---|---|---|
| 5km | 35分10秒 | 38分34秒 |
| 10km | 1時間13分15秒 | 1時間20分22秒 |
| ハーフ | 2時間41分45秒 | 2時間57分03秒 |
| Eペース(1kmあたり) | 8分40秒 | 9分26秒 |
| Tペース(1kmあたり) | 7分17秒 | 7分57秒 |
| Iペース(1kmあたり) | 6分42秒 | 7分19秒 |
トップの一覧表は時計のVO2max 33から載せているため、サブ5.5(29.6)とサブ6(26.2)は表に入っていません。また、計算に使うDanielsの式は走り続けることを前提にした式で、歩きが混じる場合や、このくらいゆっくりした速さでどれだけ当たるかは、このサイトでは確かめられていません。大会によって制限時間や関門(決まった時刻までに通過しないと競技を続けられない地点)が違うので、間に合うペースはフルマラソンの制限時間に間に合うペースは?で確かめられます。
注意点
ここに挙げた数値は、好条件が揃った場合の理論値です。
気温が20度を超えるレース、起伏の大きいコース、向かい風。これらはすべてタイムを押し下げます。
当サイトの実測例では、理論値より余裕のある走力を持ちながら、暑いレースで理論値より十数分遅い結果になっています。
表の数字をそのままペース設定に使うのは危険です。
特にサブ5圏では、30km以降に歩いてしまうかどうかが結果を分けます。
序盤を抑えて、後半に余力を残すほうが、結果的に良いタイムになります。
なお、体調に不安がある場合や、これまで運動習慣がなかった場合は、レースに申し込む前に医療機関にご相談ください。
5時間より長い制限時間に間に合うペースは、フルマラソンの制限時間に間に合うペースは?で計算しています。
まとめ
- サブ5に必要なVDOTは28.7、時計のVO2maxスケールでは33.7
- 必要な巡航ペースは1kmあたり7分06秒。給水などで止まった時間は別に見込む必要がある
- 10kmで1時間06分を切れていれば、速さとしては到達している
- ただし10kmが走れることと、42kmを走り切れることは別問題
- ジョグは7分54秒程度。遅すぎると感じるくらいでちょうどよい
- サブ5の課題は速さではなく、5時間動き続ける持久力


