1897年に始まった、世界で最も歴史のある毎年開催のマラソン、ボストンマラソン。世界中の市民ランナーが憧れるこの大会は、参加資格タイムを切らないと申し込むことすらできません。では、そのタイムを切れば出られるのでしょうか。
答えは、それだけでは足りませんでした。2027年大会に出られたのは、資格タイムよりさらに5分17秒以上速かった人だけでした。40〜44歳の男性なら、資格タイムは3時間05分ですが、実際に必要だったのは2時間59分43秒、つまりサブ3です。
結論:2027年大会に出るために必要だったタイム(男性)
| 年齢 | 資格タイム | 実際に必要だったタイム(1kmあたり) | 時計のVO2max |
|---|---|---|---|
| 18〜34歳 | 2時間55分 | 2時間49分43秒(4分01秒) | 66.6 |
| 35〜39歳 | 3時間00分 | 2時間54分43秒(4分08秒) | 64.5 |
| 40〜44歳 | 3時間05分 | 2時間59分43秒(4分15秒) | 62.5 |
| 45〜49歳 | 3時間15分 | 3時間09分43秒(4分29秒) | 58.8 |
| 50〜54歳 | 3時間20分 | 3時間14分43秒(4分36秒) | 57.1 |
| 55〜59歳 | 3時間30分 | 3時間24分43秒(4分51秒) | 53.9 |
| 60〜64歳 | 3時間50分 | 3時間44分43秒(5分19秒) | 48.3 |
| 65〜69歳 | 4時間05分 | 3時間59分43秒(5分40秒) | 44.7 |
| 70〜74歳 | 4時間20分 | 4時間14分43秒(6分02秒) | 41.5 |
| 75〜79歳 | 4時間35分 | 4時間29分43秒(6分23秒) | 38.6 |
| 80歳以上 | 4時間50分 | 4時間44分43秒(6分44秒) | 36.0 |
年齢はレース当日の年齢で、タイムはネットタイム(スタートラインを越えてからの時間)です。「時計のVO2max」は、実際に必要だったタイムを好条件で出すのに必要なGPSウォッチの値で、トップのVO2max別マラソン予想タイム一覧表と同じ計算です。1kmあたりのペースは秒未満を切り捨てています。
女性に必要だったタイム
| 年齢 | 資格タイム | 実際に必要だったタイム(1kmあたり) | 時計のVO2max |
|---|---|---|---|
| 18〜34歳 | 3時間25分 | 3時間19分43秒(4分43秒) | 55.4 |
| 35〜39歳 | 3時間30分 | 3時間24分43秒(4分51秒) | 53.9 |
| 40〜44歳 | 3時間35分 | 3時間29分43秒(4分58秒) | 52.4 |
| 45〜49歳 | 3時間45分 | 3時間39分43秒(5分12秒) | 49.6 |
| 50〜54歳 | 3時間50分 | 3時間44分43秒(5分19秒) | 48.3 |
| 55〜59歳 | 4時間00分 | 3時間54分43秒(5分33秒) | 45.9 |
| 60〜64歳 | 4時間20分 | 4時間14分43秒(6分02秒) | 41.5 |
| 65〜69歳 | 4時間35分 | 4時間29分43秒(6分23秒) | 38.6 |
| 70〜74歳 | 4時間50分 | 4時間44分43秒(6分44秒) | 36.0 |
| 75〜79歳 | 5時間05分 | 4時間59分43秒(7分06秒) | 33.7 |
| 80歳以上 | 5時間20分 | 5時間14分43秒(7分27秒) | 31.6 |
女性の資格タイムは、どの年代も男性より30分長く設定されています。ノンバイナリーの区分もあり、資格タイムは女性と同じです。
資格タイムを切っても、8,019人が出られなかった
ボストンマラソンは、申込が定員を超えると、資格タイムより速かった人から順に受け入れます。2027年大会の申込は約3.4万人(33,656人)で、受け入れられたのは25,630人と報じられています。資格タイムを切っていたのに入れなかった人は、8,019人にのぼりました。
| 大会 | 資格タイムより何分速い必要があったか | 資格を満たしても入れなかった人 |
|---|---|---|
| 2019年 | 4分52秒 | 7,248人 |
| 2020年 | 1分39秒 | 3,161人 |
| 2021年 | 7分47秒 | 9,215人 |
| 2022年 | 0分 | 0人 |
| 2023年 | 0分 | 0人 |
| 2024年 | 5分29秒 | 11,039人 |
| 2025年 | 6分51秒 | 12,324人 |
| 2026年 | 4分34秒 | 8,887人 |
| 2027年 | 5分17秒 | 8,019人 |
上乗せが0分だった2022・2023年を除けば、ここ数年は5分前後の上乗せが続いています。2027年大会からは、上乗せに届かなかった人の中から約1,000人を抽選で選ぶ枠も新しく設けられました。
日本の市民ランナーと比べると
日本のフルマラソン完走者の中央値は、男性4時間36分、女性5時間05分です(2023年度)。時計のVO2maxにすると、男性37.5、女性32.9です。40代前半の男性がボストンに出るのに必要だった62.5とは、25ポイントの差があります。
男性の完走者のうち、3時間を切ったのは4.7%(2025年度)でした。年代別にどれくらいの人がボストンの基準に届いているかは、年代別のタイムの分布が公表されていないため、分かりません。それでも、40代前半の男性で必要だったのがサブ3だったことを考えると、世界中から集まるランナーの水準の高さが分かります。
一方で、年齢が上がるほど基準はゆるやかになります。65〜69歳の男性なら、実際に必要だったのは3時間59分43秒で、サブ4の水準です。年齢による違いをそろえて比べる考え方は、マラソンの年齢補正とは?にまとめています。
ボストンを含む世界の大きなマラソンのシリーズはワールドマラソンメジャーズは今いくつ?にまとめています。
注意点
- 年によって変わる:何分の上乗せが必要になるかは、その年の申込の数で変わります。2028年大会の資格タイムや上乗せは、この記事の時点では分かりません
- 資格タイムを出すレース:資格タイムは、B.A.A.(ボストン陸上競技協会)が認めた大会で、決められた期間に出した記録に限られます。詳しい条件は公式サイトで確かめてください
- 申込と受け入れの人数:33,656人と25,630人は報道による数字です。資格を満たしても入れなかった人の数(8,019人)と上乗せの時間は、B.A.A.の公式サイトによります
- 時計のVO2maxは目安:時計の値とレースの走力は離れることがあります(ガーミンやApple WatchのVO2maxはあてにならない?)
アメリカの市民ランナーの完走タイムはアメリカのマラソン完走タイムは?、日本の完走タイムはフルマラソンの平均タイムは?、サブ3に必要な走力はサブ3に必要なVO2maxは62.4にまとめています。
出典
- B.A.A.「History of Qualifying Times」(2027年大会の資格タイム、年ごとの上乗せと入れなかった人数)
- B.A.A.「Boston Marathon History」(1897年の第1回)
- Running USA「New additional Boston Qualifier Selection opportunity」(2026年7月22日、B.A.A.の発表)(約1,000人の抽選枠)
- boston.com(2026年9月29日)(2027年大会の申込と受け入れの人数)
- RUNNET「全日本マラソンランキング(2023年度)発表」(日本の完走タイムの中央値)、RUNNET「全日本マラソンランキング2025発表」(サブ3の割合)
1kmあたりのペースと時計のVO2maxは、Daniels-Gilbertの式とCooperの式を使って、このサイトで計算したものです。


