ランニングシューズの交換の目安は、メーカーの公式情報ではおよそ500〜800kmです。研究では、クッションの衝撃を和らげる力は、走るほど少しずつ落ちていきます。また、厚底カーボンシューズは450km使うと、走るのに必要なエネルギーが約2%増えたという結果があり、マラソンのタイムに換算すると4時間のランナーで約4分にあたります。
結論:メーカーの交換の目安
| メーカー | 交換の目安 |
|---|---|
| ASICS(日本) | 約500km |
| Nike(日本) | 約500〜800km |
| Mizuno(日本) | 約600km(体重60kg、片減りが少ない場合) |
| Brooks(日本) | ロード用は700km前後 |
| Saucony(日本) | 平均で約640km(400マイル) |
| adidas(米国) | 約480〜800km(300〜500マイル) |
| HOKA(オーストラリア) | 約400〜800km |
| New Balance(英国) | 300〜500マイル(約480〜800km) |
どのメーカーも「あくまで目安」としていて、体重や走り方、路面によって変わると説明しています。ASICSは、使っていなくても3〜4年たつと素材が劣化するとしています。adidas・HOKA・New Balanceは、日本の公式サイトで距離の目安を示したページが見つからなかったため(2026年10月時点)、海外の公式ページの値を載せています。New Balanceは、米国の公式サイトのよくある質問では距離を示さず、「体重や走る路面によって人それぞれ」として、足の疲れや靴底のすり減りで判断するよう案内しています。
研究:クッションは少しずつ落ちる
| 研究 | 調べたこと | 結果 |
|---|---|---|
| Cook ほか(1985年) | 機械でかかとの着地をくり返し、衝撃を和らげる力を測定 | 新品と比べて、約80kmで約75%、約160〜240kmで約67%、約400〜800kmで60%未満に低下 |
| Kong ほか(2009年) | ランナー24人が約320km使った後の走り方 | 接地時間が長くなるなど、走り方に変化があった |
| Escamilla-Martínez ほか(2020年) | 男性ランナー33人、新品・350km・700kmで比較 | 足の中央部にかかる圧力が上がった |
Cookらの研究では、実際にランナーが500マイル(約800km)履いたシューズは、衝撃を和らげる力が新品の約70%でした。急に使えなくなるのではなく、走るほど少しずつ性能が落ちていくというのが、これらの研究に共通する結果です。
厚底カーボンは、450kmでどれだけ変わるか
Rodrigo-Carranzaらは、よく練習を積んだ男性ランナー22人で、カーボンプレート入りのシューズを新品と450km使った後で比べました(2023年)。
- PEBA(反発の大きい新しい素材)のシューズ:450km使った後は、走るのに必要なエネルギーが約2.3%増えた
- EVA(従来の素材)のシューズ:ほとんど変わらなかった
- 新品ではPEBAのほうが約1.8%有利だったが、450km使った後は、2つのシューズの差はほぼなくなった
このサイトの計算式で、エネルギーが2.3%増えた場合のマラソンのタイムを計算すると、次のとおりです。
| 新品でのマラソンのタイム | 450km使った後(エネルギー2.3%増) |
|---|---|
| 3時間00分 | 約3分遅くなる |
| 3時間30分 | 約4分遅くなる |
| 4時間00分 | 約4分遅くなる |
| 4時間30分 | 約5分遅くなる |
| 5時間00分 | 約5分遅くなる |
厚底カーボンシューズの効果は、新品で4時間のランナーに約5〜8分(厚底カーボンシューズで何%速くなる?)。450km使うと、その効果の半分以上が失われる計算になります。研究は1種類の比較で、すべての製品に当てはまるとは限りません。
交換の距離を知るには
- 走った距離を記録する:Garmin ConnectやStravaには、シューズごとの走行距離を記録する機能があります
- 月間距離から逆算する:月150km走る人なら、500kmは約3か月半、800kmは約5か月です
なお、複数のシューズを交互に使っていたランナーは、けがの発生が約39%少なかったという研究もあります(Malisouxら、2015年、264人を22週間追跡)。この研究は交互に使うことを調べたもので、シューズの走行距離とけがの関係を示したものではありません。
各社の最新モデルの比較はランニングシューズはどう比べる?、重さの影響はシューズの重さでタイムはどれだけ変わる?にまとめています。
買い替えのときのサイズの選び方は、ランニングシューズのサイズは何cm大きめ?にまとめています。
出典
- ASICS「ランニングシューズの寿命」
- Nike「ランニングシューズの交換時期」
- ミズノ ヘルプセンター
- Brooks「ランニングシューズの寿命と買い替えのタイミング」
- Saucony「ランニングシューズの交換時期」
- adidas「How often should you replace your running shoes」
- HOKA「When to replace your running shoes」
- New Balance「How long do running shoes last」
- New Balance(米国)「Product Care & Maintenance」
- Cook SD, Kester MA, Brunet ME. Shock absorption characteristics of running shoes. American Journal of Sports Medicine, 1985
- Kong PW, Candelaria NG, Smith DR. Running in new and worn shoes. British Journal of Sports Medicine, 2009
- Escamilla-Martínez E, et al. International Journal of Environmental Research and Public Health, 2020
- Rodrigo-Carranza V, Hoogkamer W, et al. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2023
- Malisoux L, et al. Can parallel use of different running shoes decrease running-related injury risk? Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2015
タイムへの換算は、Daniels-Gilbertの式(速さと酸素摂取量の関係)によります。この記事は公式情報と研究の数字をまとめたもので、運営者がシューズを履き比べた結果ではありません。


