サブ4(フルマラソン4時間切り)は市民ランナーにとって重要な目標の1つですが、月間どれくらい走れば達成できるのでしょうか?
ネットで調べても、先輩ランナーに聞いても、さまざまな答えが返ってきます。
果たして研究ではどのようになっているのか?
結論として、サブ4に必要な月間走行距離を、1つの数字で示した研究は見つかりませんでした。
研究で分かっているのは、走行距離が多いほどタイムが速い傾向があることと、必要な距離は練習のペースによって大きく変わることです。
研究の予測式で計算すると、練習のペースが1kmあたり6分なら週約24km(月約106km)、6分30秒なら週約52km(月約225km)になります。
サブ4を達成したあるランナーの、レース前16週間の平均は週約29km(月約124km)でした。
結論:目標タイム別の月間走行距離(研究の予測式)
| フルマラソンの目標 | ふだんの練習のペース(1kmあたり) | 週間走行距離 | 月間走行距離の目安 |
|---|---|---|---|
| サブ3 | 4分15秒 | 約72km | 約314km |
| 4分30秒 | 約89km | 約389km | |
| 4分45秒 | 約108km | 約470km | |
| サブ3.5 | 5分00秒 | 約40km | 約173km |
| 5分15秒 | 約54km | 約235km | |
| 5分30秒 | 約70km | 約302km | |
| サブ4 | 6分00秒 | 約24km | 約106km |
| 6分15秒 | 約38km | 約163km | |
| 6分30秒 | 約52km | 約225km |
下のサブ4の表と同じ予測式(TandaとKnechtle、2013年)で、予想タイムがちょうど3時間・3時間30分・4時間になる週間走行距離を逆算しました。どの目標でも、練習のペースが遅いほど必要な距離は増えます。
この式が使えるのは、マラソンのタイムが2時間45分〜4時間26分の範囲とされています。サブ4.5(4時間30分)とサブ5(5時間)は範囲の外で、計算すると「ゆっくり走っていれば、ほとんど走らなくても届く」という意味のない結果になるため、表に入れていません。参考として、下の大規模データ(Stravaの記録)では、4時間30分〜5時間で完走したグループのレース前16週間の平均は週約35km(月約152km)でした。
サブ4の詳しい表:練習のペース別
| ふだんの練習のペース(1kmあたり) | 週間走行距離 | 月間走行距離の目安 |
|---|---|---|
| 5分45秒 | 約12km | 約53km |
| 6分00秒 | 約24km | 約106km |
| 6分15秒 | 約38km | 約163km |
| 6分30秒 | 約52km | 約225km |
| 6分45秒 | 約67km | 約291km |
| 7分00秒 | 約83km | 約363km |
市民ランナー126人のデータから作られた予測式(TandaとKnechtle、2013年)で、予想タイムが4時間00分になる週間走行距離を逆算しました。
体脂肪率は15%として計算し、月間は週間の4.35倍としています。
練習のペースが遅いほど、同じタイムに必要な距離が増えるという関係です。
この式の予測は実際のタイムと強く相関していました(r=0.81)が、1人ひとりのタイムを正確に当てるものではありません。
サブ4を目標としているランナーの中には、5分45秒前後で走っているランナーは多いと思いますが、この予測式では月間走行距離の目安がなんと53km。意外な数字です。
大規模なデータで見る走行距離とタイム
| 研究 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| Muniz-Pumares ほか(2025年) | Stravaの記録、マラソン151,813回分 | レース前16週間の平均は週45.1km。2時間〜2時間30分のグループは週約107km、4時間30分〜5時間のグループは週約35km。サブ4前後のグループの値は、論文ではグラフのみで、数値は示されていない |
| Fokkema ほか(2020年) | マラソンのランナー441人 | 週40〜65kmの人と比べて、週40km未満は約6分遅く、週65km超は約14分速かった |
| Vickers ほか(2016年) | 市民ランナー2,303人 | 週50マイル(約80km)の人は週30マイル(約48km)の人より、男性で約26分、女性で約32分速かった |
いずれも「走行距離が多い人ほど速い」という関係を示したものです。
走行距離を増やせば、その分だけ速くなることを確かめたものではありません。
あるランナーの実測
2回のフルマラソンを走ったあるランナーの、レース前16週間の記録です。どちらも真夏のレースです。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 結果 | 4時間をわずかに切る(サブ4) | 3時間31分台 |
| 週間走行距離(16週間の平均) | 約29km | 約36km |
| 月間に直すと | 約124km | 約157km |
| 練習の回数 | 週約3.0回 | 週約3.5回 |
| 練習のペース(中央値、1kmあたり) | 5分27秒 | 4分49秒 |
| 4週ごとの距離 | 95km、117km、132km、113km | 165km、144km、153km、115km |
サブ4を達成したときの週約29kmは、Stravaの大規模データの平均(週45.1km)や、Fokkemaらの研究の基準(週40〜65km)より少ない量です。
このランナーは、ジョグが少なく、1kmあたり5分台前半のペースで走ることが多いタイプでした。
上の予測式でいえば、練習のペースが速い分、少ない距離でもサブ4の計算に近づく形です。
予測式は、このランナーに当たったか
Tandaの2011年の予測式(レース9週前〜1週前の週間走行距離と練習ペースを使う)で、このランナーの2回のレースを予測すると、次のようになりました。
| 予測 | 実際 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 3時間43分 | 4時間をわずかに切る | 約16分遅い |
| 2回目 | 3時間40分 | 3時間31分台 | 約8分速い |
1回目は予測より遅く、2回目は予測より速い結果でした。
この式は、もともと2時間47分〜3時間36分のランナーのデータから作られたもので、4時間前後は式の範囲の外です。
1人の2回分の結果ですが、走行距離と練習ペースだけで、タイムを数分の精度で当てるのは難しいことが分かります。
注意点
- この記事は、月間走行距離の目標を勧めるものではありません。研究と実測の数字をまとめたものです
- ランナーの記録は、Nike Run Clubで記録した走行データを集計したものです。週あたりの数値は、記録のない日も含めて16週で割っています
- 研究の多くは男性が中心で、走行距離はランナー自身の申告や、アプリの記録によるものです
サブ4に必要な走力はサブ4に必要なVO2maxはいくつ?、このランナーのサブ4までの6か月の記録は理想どおりに練習できなくても、サブ4には届いたにまとめています。
市民ランナーが実際に走っている距離の統計は、市民ランナーは実際に何キロ走っている?にまとめています。
レース前の数週間に距離をどう減らした人が速かったかは、テーパリングは何週間前から?にまとめています。
出典
- Tanda G, Knechtle B. Marathon performance in relation to body fat percentage and training indices in recreational male runners. Open Access Journal of Sports Medicine, 2013
- Tanda G. Prediction of marathon performance time on the basis of training indices. Journal of Human Sport and Exercise, 2011
- Muniz-Pumares D, Hunter B, Meyler S, Maunder E, Smyth B. The training intensity distribution of marathon runners across performance levels. Sports Medicine, 2025
- Fokkema T, et al. Training for a (half-)marathon: Training volume and longest endurance run related to performance and running injuries. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2020
- Vickers AJ, Vertosick EA. An empirical study of race times in recreational endurance runners. BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation, 2016
週間走行距離の逆算と予測は、出典の予測式をもとにこのサイトで計算したものです。


