冬になるとVO2maxは下がる?|雪道の2シーズン、時計の値は冬じゅうほぼ下がらなかった

冬ラン×数字

雪道を走る季節になると、ペースが落ちます。それなら、GPSウォッチのVO2max(最大酸素摂取量。持久力の目安になる数値)も冬は下がるのでしょうか。雪国に住むあるランナーのApple Watchの記録を2シーズン分、月ごとに並べてみました。

結果は、どちらの冬も、時計の値は冬のあいだほとんど下がっていませんでした。1年目は冬じゅう上がり続け、2年目もほぼ横ばいです。同じ冬、同じ心拍数で走ったときのペースは、1kmあたり28秒遅くなっていました。

結論:2シーズンの冬の、月ごとの時計のVO2max

月1年目の冬2年目の冬
10月36.650.9
11月38.851.0
12月40.451.0
1月41.451.8
2月41.951.9
3月43.550.5
4月44.051.4

Apple Watchが推定したVO2maxの、月ごとの中央値(真ん中の値)です。iPhoneだけで記録された値は除きました。11〜3月の5か月で、1年目は79回、2年目は124回、値が推定されています。冬に記録が途切れていたわけではありません。

1年目の冬は、10月の36.6から4月の44.0まで上がり続けました。ただ、この時期は練習の記録が増え始めたころで、走力そのものが大きく伸びていた時期と重なります。10月からの1年間で、時計の値は36.6から50.9まで上がっています。冬でも下がらなかったのか、伸びが冬の影響を上回っていたのかは、この記録からは区別できません。

下がったのは、2年目の冬の終わりの約6週間だけ

2年目の冬で値が下がったのは、2月中旬から3月下旬にかけての約6週間です。52.4から50.1へ、約2ポイント(約4%)下がりました。4月の中央値は51.4に戻り、その後は夏にかけて53〜54台まで上がっています。

一方、同じランナーの2年目の冬は、同じくらいの心拍数で走った日のペースが、10月の1kmあたり4分47秒から3月の5分15秒へ、28秒遅くなっていました。雪道で歩幅が縮んだためで、詳しくは冬にペースが落ちるのは走力低下ではないにまとめています。ペースが大きく落ちていた12〜2月にも、時計の値は下がっていません。

Appleの説明では、心肺機能レベル(VO2max)は屋外のウォーキング・ランニング・ハイキングのデータから推定されます。使うのは心拍センサーとモーションセンサーです。どのワークアウトのどの部分を計算に使うかは公開していません。ペースが落ちても値が下がらなかった理由は、分かりません。

冬に時計の値が下がったら、予想タイムは何分変わるか

このランナーのように冬の終わりに2ポイント下がると、フルマラソンの予想タイムは3時間29分から3時間37分へ、約8分遅くなる計算です。下がった幅ごとの差は、元の値によって変わります。

冬の前の時計のVO2max(フル予想)1ポイント下がると2ポイント下がると3ポイント下がると
40(4時間22分)約5分遅い約11分遅い約17分遅い
45(3時間58分)約4分遅い約9分遅い約14分遅い
50(3時間38分)約4分遅い約8分遅い約12分遅い
55(3時間21分)約3分遅い約7分遅い約10分遅い

トップのVO2max別マラソン予想タイム一覧表と同じ計算です。冬の値が一時的に下がっていた場合、その値で春のレースの目標を決めると、実際の走力より遅いタイムを見込むことになります。値が1上がったときに縮む時間はVO2maxが1上がるとフルマラソンは何分縮む?で扱っています。

注意点

  • 1人分・2シーズン分の記録:ほかのランナーや、ほかの時計でも同じになるとは限りません。「冬はVO2maxが下がらない」という意味ではありません
  • 時計の推定値:実験室で測る本当のVO2maxではありません。季節そのもので本当のVO2maxが変わるかを調べた研究は、見つけられませんでした
  • 気温や積雪は記録していない:「雪の季節」は11〜3月ごろとして月で区切っています。日ごとの路面の状態とは突き合わせていません

走り続けていても時計の値が下がった例はVO2maxが下がるのはなぜ?、時計の値が更新される条件はVO2maxが更新されないのはなぜ?、雪道の練習の研究は雪道の練習は効果が高いのかにまとめています。

出典

ランナーの記録は、Apple Watchが推定してiPhoneのヘルスケアに保存されたVO2maxを、このサイトで月ごとに集計したものです。予想タイムはDaniels-Gilbertの式、時計の値(生理学的なVO2maxの尺度)との換算はCooperの式によります。

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