Apple Watchやガーミンが表示する「接地時間」「上下動」「歩幅」。自分の数字は、ふつうと比べて多いのか少ないのか、気になりませんか。ある市民ランナーの約2年・338回のランを1kmあたりのペース別に集計すると、速く走るほど接地時間は短く、歩幅は長くなっていました。
ところが、上下動(走るときに体が上下に動く幅)だけは、ペースが変わっても7.4〜7.8cmとほとんど動きません。3つの指標は、同じ「走り方の数字」でも、速さとの関係がまったく違いました。
結論:ペース別の接地時間・歩幅・上下動(ある市民ランナーの実測)
| 1kmあたりのペース | 回数 | 接地時間 | 歩幅 | 上下動 |
|---|---|---|---|---|
| 4分45秒より速い | 44回 | 201ms | 1.14m | 7.4cm |
| 4分45秒〜5分00秒 | 71回 | 204ms | 1.09m | 7.5cm |
| 5分00秒〜5分15秒 | 74回 | 209ms | 1.05m | 7.5cm |
| 5分15秒〜5分30秒 | 59回 | 215ms | 1.00m | 7.5cm |
| 5分30秒〜6分00秒 | 67回 | 231ms | 0.97m | 7.8cm |
| 6分00秒より遅い | 23回 | 238ms | 0.92m | 7.8cm |
Apple Watchで記録した、10分以上のラン338回(約2年分)の集計です。数字はそれぞれのランの平均値の中央値(真ん中の値)で、ペースはそのランの平均の速さから計算しました。接地時間は足が地面に着いている時間(ms=1000分の1秒)、歩幅は1歩で進む距離です。
ペースとの関係:接地時間と歩幅は大きく変わり、上下動は変わらない
1kmあたり6分より遅いランと4分45秒より速いランを比べると、接地時間は238msから201msへ約16%短く、歩幅は0.92mから1.14mへ約24%長くなっていました。338回のランで、ペースとの相関係数(2つの数字がどれだけそろって動くかを表す値。±1に近いほど関係が強い)は、接地時間が0.88、歩幅が-0.91です。
一方、上下動とペースの相関係数は0.45にとどまり、中央値の差も0.4cmだけでした。このランナーの場合、速く走るときは、上に跳ねるより前に大きく進む走り方になっていたことが数字から読み取れます。ただし、これは1人の記録です。ほかのランナーでも同じになるかは分かりません。
ガーミンの目安と比べると
ガーミンは、多くのランナーを調べた結果から、ランニングダイナミクス(走り方の数字)を5色に分けて表示しています。色は、ほかのランナーと比べて上位何%にいるかを表します。
| 色(上位何%か) | 接地時間 | 上下動(胸のセンサー) | 上下動÷歩幅(胸のセンサー) |
|---|---|---|---|
| 紫(上位5%) | 218ms未満 | 6.4cm未満 | 6.1%未満 |
| 青(上位5〜30%) | 218〜248ms | 6.4〜8.1cm | 6.1〜7.4% |
| 緑(上位31〜70%) | 249〜277ms | 8.2〜9.7cm | 7.5〜8.6% |
| オレンジ(上位71〜95%) | 278〜308ms | 9.8〜11.5cm | 8.7〜10.1% |
| 赤(下位5%) | 308msより長い | 11.5cmより大きい | 10.1%より大きい |
ガーミンの説明では、赤やオレンジは経験の浅いランナーや遅いランナーに、緑・青・紫は経験のあるランナーや速いランナーによく見られる値です。上のランナーの接地時間(201〜238ms)は、この区分では紫〜青に入ります。ただし、ガーミンの目安は胸や腰に着けるセンサーで測った値をもとにしていて、手首のApple Watchとは測る場所も計算の方法も違います。そのまま当てはめて比べることはできません。
同じ人でも、ペースで数字は変わる
上の実測のように、接地時間と歩幅はペースによって大きく変わります。ジョグの日とレースペースの日の数字を並べて比べると、走り方が変わったのか、ペースが違うだけなのかが分かりにくくなります。自分の数字の変化を見るときは、同じくらいのペースのランどうしで比べると、ペースの影響を取り除けます。
注意点
- 1人分の記録:身長や脚の長さ、走り方によって数字は変わります。この表は、ほかのランナーの「目安」や「理想」ではありません
- 機器で数字が違う:Apple Watchとガーミン、手首と胸・腰のセンサーでは、同じ走りでも数字がそろうとは限りません
- フォームの良し悪しは扱っていない:この記事は数字の関係をまとめたもので、走り方を変える方法や、ケガとの関係は扱っていません
1分間の歩数(ピッチ)の実測はピッチ180は意識しないと届かないのか、Apple WatchのランニングパワーはApple Watchのワットは何を表すのか、同じ2年間を別の指標で見た結果は同じ2年間を3つの指標で見たら答えが違ったにまとめています。
出典
- Garmin Forerunner 965 マニュアル「Color Gauges and Running Dynamics Data」(接地時間の色分け、色の意味)
- Garmin Forerunner 245 マニュアル「Vertical Oscillation and Vertical Ratio Data」(上下動と上下動÷歩幅の色分け)
- Apple「Apple Watch ユーザガイド(watchOS 9)」(歩幅・接地時間・上下動の定義)
ランナーの記録は、Apple Watch(主にNike Run Clubのアプリ)で記録した走行データを、このサイトで集計したものです。


