VO2max(最大酸素摂取量)は、体重1kgあたり1分間に取り込める酸素の最大量です。
単位はml/kg/分で、持久力の「エンジンの大きさ」を表します。
GPSウォッチに表示される数値もこの尺度で、一覧表を使えば、その値からマラソンの予想タイムを引けます。
VO2maxは体重1kgあたりの値なので、体重が変わると数値も変わります。
どれくらい変わるかは体重が減るとVO2maxは上がる?で計算しています。
結論:VO2maxで分かること・分からないこと
| 分かること | 分からないこと |
|---|---|
| 持久力の上限(どれだけ酸素を使えるか) | その上限の何%で長く走り続けられるか |
| 同年代・同性の中での位置 | 走り方の効率(同じ速さで使う酸素の量) |
| 走力の伸びや衰えの大まかな傾向 | 当日の体調、暑さ、コースの起伏の影響 |
持久系の競技の成績は、主に3つの要素で決まると整理されています(Joyner・Coyle、2008年)。
VO2max、その何%を維持できるか、走りの効率の3つです。
VO2maxはそのうちの1つで、大事ですが、これだけでタイムが決まるわけではありません。
このうち「走りの効率」は、シューズでも変わります。厚底カーボンシューズの効果を研究の数字で見ると、厚底カーボンシューズで何%速くなる?のとおりです。
VO2maxの数値ごとの予想タイム
| VO2max | 10km | ハーフ | フルマラソン |
|---|---|---|---|
| 35 | 1時間04分 | 2時間22分 | 4時間51分 |
| 40 | 57分 | 2時間07分 | 4時間22分 |
| 45 | 51分 | 1時間55分 | 3時間58分 |
| 50 | 47分 | 1時間45分 | 3時間38分 |
| 55 | 43分 | 1時間36分 | 3時間21分 |
| 60 | 40分 | 1時間29分 | 3時間06分 |
上の3つの要素がそろっている場合の理論値です。分未満は切り捨てています。1刻みの数値は一覧表に載せています。実際のレースでは、ここより遅くなることが多いと考えてください。あるランナーの実測では、フルマラソンで4〜6%遅い結果でした(Apple WatchのVO2maxで予想タイムは当たるのか)。
VO2maxの測り方は3種類
| 方法 | 内容 | 精度 |
|---|---|---|
| 実験室での測定 | マスクを着けてトレッドミルなどで限界まで運動し、吐いた息を分析する | 最も正確 |
| GPSウォッチ | ふだんのランの心拍数と速さから推定する | 推定値。個人差がある |
| 12分間走など | 12分間で走れた距離から計算する(Cooperの式) | 全力で走れれば目安になる |
GPSウォッチの数値は、実験室で測るVO2maxと同じ尺度で表示されますが、あくまで推定値です。時計ごとの見方はGPSウォッチのVO2maxはどこで見る?にまとめています。Apple Watchの推定範囲は14〜65です。
時計のVO2maxが表示されない・更新されないときの原因は、VO2maxが更新されないのはなぜ?にまとめています。
VDOTとの違い
VDOTは、レースタイムから逆算する走力の指数です。名前は似ていますが別の尺度で、時計のVO2maxのほうが高く出ます。このサイトの実測では、約10ポイントの差がありました。詳しくはガーミンやApple WatchのVO2maxはあてにならない?で扱っています。直近のレースタイムがあれば、VDOT計算機で走力を確かめるほうが確実です。
平均はどれくらいか
米国の健康な成人を測ったデータ(Kaminsky ほか、2022年)では、真ん中の人の値は20代男性で46.5、40代男性で35.3、20代女性で36.6、40代女性で25.7でした。年齢と性別で大きく変わります。年代別の一覧と、その値での予想タイムはVO2maxの平均は?年齢・男女別に見るとにまとめています。
上がる・下がる
- 上がる:運動習慣のない人が走り始めると、数か月で変化が見られます。あるランナーの3年分の記録はVO2maxは何か月で上がるのかで扱っています
- 下がる:ケガなどで走れない期間が2週間を超えると、はっきり下がり始めます。期間ごとの目安はケガで休むとVO2maxはどれだけ下がる?にまとめています。走り続けていても時計の数値が下がる理由は、VO2maxが下がるのはなぜ?で実測データとともに扱っています
目標タイムから見る
目標タイムに必要なVO2maxは、サブ5、サブ4.5、サブ4、サブ3.5、サブ3の記事で、それぞれ計算しています。
時計のVO2maxが1上がると予想タイムが何分縮むかは、VO2maxが1上がるとフルマラソンは何分縮む?に早見表をまとめています。
出典
- Joyner MJ, Coyle EF. Endurance exercise performance: the physiology of champions. The Journal of Physiology, 2008
- Kaminsky LA, et al. Updated Reference Standards for Cardiorespiratory Fitness Measured with Cardiopulmonary Exercise Testing (FRIEND). Mayo Clinic Proceedings, 2022
- Apple「Apple Watchを使用した最大酸素摂取量による心肺機能の推定」
予想タイムはDaniels-Gilbertの式、VO2max(生理学的な尺度)からの換算はCooperの式によります。


